マイノリティ

 マイノリティにはある程度の強さ=自覚が必要である。マイノリティであるとの自意識がないと自己を保てない。

 デリダにせよ柄谷にせよ、冷戦後の世界についてよく「様々なマイノリティの横の連帯が必要だ」ということをいうが、現実にはこれが非常に難しく、まったくできないといいたくなるほどだ。それぞれのマイノリティは自分の置かれた抑圧状況にかかりっきりで、他のマイノリティの問題には関心がないからだ。ゲイ、フェミニストクレオールの置かれた抑圧状況はそれぞれ違うが、それぞれが各々に対してあまり関心がない。彼らはマジョリティに抑圧されているというタテの関係は共有するが、それぞれのコミュニティを横断する横の原理はないのだ。帝国に支配される部族をつなげる横の原理の創出こそが最も難しい。合従が連衡に負けた故事もこれに当たる。
 マイノリティを横断する横の原理。果たして、そんなものが可能だろうか?
 マイナーコミュニティを繋げる通信線。それは新たなコミュニケーション概念を創造することである。