森と湖のまつり

 傑作だ(まだ最初のほうしか読んでないけど)。娯楽性があって理論的なシェーマも示してくれる。やはり純文学は凄い。冒頭の大村と川宮の議論はそのまま露骨なまでの新自由主義=資本主義批判になる。新しいことなんて何も起こってないんだよなぁ。

 インパクション酒井隆史さんの論文を読む。オーソドックスな分析に感心する反面、これではジリ貧だよなぁと思う。彼がいっていることは殆どフーコーの反復である。つまり、新自由主義に対抗するのは難しい。『森と湖のまつり』の大村に対抗するのは難しい、というか不可能だろう。アイヌが滅びたように資本主義に抵抗する者は滅びる。しかし、それを追認するのでは批評とはいえない。皆、アポリアを確認するだけで満足するが、資本主義に怒る者の怒りや、そこでの辛苦や苦悩だけは本物なのだ。たとえ負けるしかないとしても。読みようによっては酒井さんの論文は大阪はバブル期に地上げをやらなかったから今やってるという風に見えてしまう。それでは意味がない。

 アサヒ芸能?の井筒和幸氏の批判に快哉を叫ぶ。そう、彼に欠けているのは国際感覚ではなく常識だ。自分の批評が腰が引けていたことを反省する。さすが井筒の兄貴!