雑記

http://d.hatena.ne.jp/nomad68k/20130315/1363375949

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岩田 かつて64年に『世界資本主義』を書いたときにイメージしていたのは1930年代だったんです。ドル体制崩壊・世界経済のブロック経済への分断ですね。こういう分断状態では、資源のない国が一番弱いといえます。しかしドル・金交換の停止(71年)以降は30年代型のデフレスパイラルではなく、過剰ドルによって主導された世界インフレですね。ドルは現金支払いを停止しても、依然として世界基軸通貨の地位を保っているからです。これが赤字になれば世界の中央銀行券(ドル)が増発されることになる。第一次、第二次石油ショックの時代はまだ物インフレでしたね。80年代以降はそれに対して資産インフレです。株、土地、などの擬制資本のインフレ、ヴァーチャル資産のインフレですね。実物インフレは実態経済の停滞を反映してむしろ停滞しているんです。実物取引の数十倍の額が取引される中央銀行の資金力ではどうにもなりません。『共産党宣言』の幽霊の徘徊みたいなものですよ。自分自身で生命をもってしまって。

 ドルが暴落したらアメリカは強くなるでしょう。アメリカは債務国でしょう。債務はみんなドル建てだから、一遍に0に近くなってしまう。アメリカのバランスシートは一気に回復してしまいます。
 グローバルキャピタリズムというのはモノ・キャピタリズムではなくて金融キャピタリズムですね。日本は今、異常な低金利ですから、日本にお金を置いておいても全然運用できません。お金はアメリカやヨーロッパに集まっていくだろうし、既にそういう動きが顕著に見られる。日本の金融機関は世界の金融業者の下請けになるんじゃないでしょうか。金利を引き上げればいいんでしょうが、そうすると不良資産の塩漬けコストが一気に上がってしまう。

柄谷 まだ日本の地価は高いでしょう。

岩田 株もそうです。国際商品として見ると利回りが低い。低金利をいつまでも維持できると思っているのは問題ですね。貨幣というのは国際商品なんですから。

岩田弘 1999年『批評空間第二期第20号』